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2006年6月18日

<バックナンバー>

2006W杯特集:チョンス兄さん、ワールドカップ初ゴールまでの軌跡


我らがチョンス兄さんが、6月13日の対トーゴ戦で待望のワールドカップ本大会初ゴールを決めました!
今大会初めてフリーキックで決まったゴール。韓国がワールドカップのアウェイで勝った初めての試合の初ゴール……。
などなど、何でも“初めて”にならな気がすまへんチョンス兄さんやから、今回の自分のゴールの“初めて”をいろいろ列挙してみたりして熟練の選手みたいなふりしてるけど、そもそもチョンス兄さん的にも2度目のワールドカップ(前回2002年大会は途中出場含め全7試合に出場)にしてやっと“初めて”のゴール決めたばっかりのところやんか!

と、辛口批評はこれくらいにして、ファンとして素直にチョンス兄さんのワールドカップ初ゴールを喜ぶことにしましょう。
4年前は弱冠ハタチという若さでワールドカップ出場を果たしたものの、主に交替要員やったチョンス兄さん。2002大会の韓国は初戦でポーランドに快勝したけど、チョンス兄さん的には活躍の場もなく、(韓国のワールドカップ初勝利という歴史的な試合やったにもかかわらず)本当につまらなかったようで、例の暴露本『傍若無人なガキ李天秀が語るワールドカップ裏話』の回想「ポーランドとの初戦に臨んだ選手たちの雰囲気」でも、ファン・ソンホン(黄善洪)のゴールのことなんかは一言も触れていない(チョンス兄さんとファン・ソンホンの関係がビミョーなのはこちらを参照 )。こういう自分のネタがない試合はだいたいさらっと流してホン・ミョンボ先輩(洪明甫)の武勇伝でごまかすのがチョンス兄さん流やったけど、このポーランド戦の記事もその例に漏れへんな。それどころか、他のところではポーランド戦の勝利は自分のすねあてに挟まってたお札のおかげだとまで主張する始末(「イ・チョンス、幸運の1,000ウォン札」 )。

一方、今大会は初戦のトーゴ戦からスタメンで出場できて、「フリーキックはボクが蹴る!」とゴネれば先輩も蹴らせてくれる中堅世代になった。で、見事な初ゴールも決めて、元ミス・コリアのカノジョと全世界の人々の前でええとこ見せることができた。

「2002年ポーランド戦で初勝利をおさめたときより、今がもっといい。ボクがゴールを入れたからだと思う」(「同点ゴール、イ・チョンス“2002年ポーランド戦よりずっとうれしい”」<2006年6月14日マイデイリー>)と、チョンス兄さんも正直に認めてます。

さてこのページを訪れてくださった方なら、ほとんどがこのチョンス兄さんのフリーキックをご覧になったと思います。ホンマ美しすぎると言ってよいほど完璧なゴールやったな。
にもかかわらず、パク・チソン(朴智星)の全般的な活躍やアン・ジョンファン(安貞桓)の逆転決勝ゴールのせいで隅に押しやられてしまった感がなきにしもあらず。実際、日本でも韓国でもニュースなんかでさらりと報道されるとき、同点に追いついた場面で「李天秀のFKで」というたった7文字が省略されることが多い。パク・チソンとアン・ジョンファンというと、チョンス兄さんにとって最も自分より活躍してほしくない選手である。期待どおりというか、試合後のインタビューなんかでは、自分のフリーキックの話ばっかりして、アンやパク・チソンの活躍には言及してなかったようや。チョンス兄さんにとっては、韓国が勝利したという事実は残したまま、抹殺してしまいたい出来事なんやろう。

それでもサッカーしか知らないような地味なパク・チソンはまだいい。彼に対しては、「ボクとサッカーの技術といい(むしろ潜在的にはボクの方が上)、容姿といい(ボクはエステに通ったりオシャレには人一倍気を使ってるから厳密にはこれもボクの方が上)、ほとんど変わらないのに、なんか人生において大きく差が出てるようで納得いかん」というのがホンネと思われる。
しか〜し!黙ってても華があるアンは絶対に許しがたい存在であり、前回のワールドカップからチョンス兄さんとアンの確執が続いていることは、このサイトでも何度となくお伝えしてきたとおりで、ある意味永遠のテーマでもある(一例として「チョンス兄さんが一番キツかったドイツ戦」)。そんな両者が同じ空間を共有したトーゴ戦で、何か起こらないわけがない。今回は両者の現在進行形の確執に注目しながら、チョンス兄さんのワールドカップ初ゴールをお祝いすることにしよう。

まずは、試合後のチョンス兄さんのインタビューから。

<スポーツ朝鮮2006年6月14日>より

「イ・チョンス、“ベッカムみたいなフリーキック、すごくイケてたでしょ”」

―――2度目のワールドカップ出場で初ゴールを決めたが。
▲ キビシい状態で同点ゴールを入れることができて、とてもうれしい。このゴールはボクのAマッチ20個目のゴールであるとともに、韓国ワールドカップ史上20番目のゴールということなので一層意味深い。
―――フリーキックのときの感触は?
▲ ベッカムもワールドカップデビューゴールがフリーキックだけど、ボクもそうだったので、ますますうれしい。最初のフリーキックで80%くらい確信したんだけど、成功できなかったから、2番目のフリーキックをねらった。(イ)ウルヨン先輩(李乙容)にボクが蹴ると言った。フリーキックは多くの人たちが見守っているから、成功させられればなおさらジ〜ンとくる。
―――ゴールを入れた後、手にキスしたセレモニーは?
▲ (イ)ドングク先輩(李東國)のためのセレモニーだった。ドングク先輩がケガする前の最後の試合でゴールを決めた後にしたポーズを、そのままマネた。
―――試合前、良い夢を見たとか?
▲カノジョ(キム・ジユ)がゴールを入れる夢を代わりに見てくれた。次の試合もベストを尽くして必ずゴールを入れる。


「自分は韓国サッカー史上○○番目」 「自分をベッカムと比較」 「自分に有利な不思議な夢の話」 なんて話題が出てくるあたり、これまでとまったく路線は変わらへん。
ただ、他の報道でもそうだが、チョンス兄さんは今回のゴールに関してやたらとイ・ドングクを思い遣るかのような発言をしている。ドングクとは以前からそれほど親しそうには見えへんかったから(基本的に自分よりイケメンは苦手。したがって“人民軍”イ・ウルヨン先輩や“原始人”チェ・ソングクは大好き)、おねぇ的にはちょっとキモい。
4年前に暴露本などで先輩達(代表落ちしたドングク含む)を言いたい放題言ってボコボコに叩かれたから、今度は「先輩を敬う常識あるボク」を演じてるんかな?とも一瞬思ったけど、遠まわしに、自分より目立ってしまったアン・ジョンファンへのあてつけちゃうかと思った。
つまり「ボクはもともと先発メンバーであって誰の控えでもないけど、ジョンファン先輩はドングク先輩がケガで脱落したからこそ出場できた“控え”でしかなく、ドングク先輩がケガしてなかったら、ジョンファン先輩は出場機会もなかったんだよね〜。ジョンファン先輩はそのことをよ〜く肝に命じた上で、ハ・シ・ャ・ギ・す・ぎ・る・な・よ・〆(怒)」ということをアピールしたいのかもしれへん、というのは深読みしすぎやろか。

では、その御自慢のフリーキックの感想を具体的に聞いてみよう。


<ハンギョレ新聞2006年6月14日>より

「イ・チョンス、“ウルヨン先輩と相談してボクが蹴ると言った”」


今回フリーキックでワールドカップ初ゴールを決めることができて気分がいい。それでも入れたかったワールドカップ初ゴールだから喜びが2倍だ。フリーキックは静止状態で蹴るものだから、全世界の人たちが注目する。そんな重要な瞬間、ボクが言った。イ・ウルヨン先輩と誰が蹴るか相談しかけて、「ボクが自信ある。蹴ろう」と。蹴った瞬間、キタッと思った。監督が試合前に「リー」とボクの名前を呼びながら、うまくいくだろうとおっしゃった。ゴールが入ったとき、チームを作り上げてボクを使ってくれた監督に感謝の気持ちを示したかった。だから(監督のところへ:管理者註)走っていったんだ。

どうせフリーキックやからねえ(それもパク・チソンからのタナボタ)、とアンの決勝ゴールより価値が低く見られるのに必死に抵抗して、「フリーキックこそプレッシャーの中で蹴るからもっと難しいんだぞ!」と暗に主張してるように聞こえるのはおねぇだけやろか?
さて、チョンス兄さんはゴールを決めて一連のセレモニーを行ったあと、すばやくアドフォカート監督のところに走って抱きつきにいった。その真相についておねぇは、2002大会でファン・ソンホンがゴールを決めたときヒディンク監督より先にコーチのところに向かったことで、世間がいろいろ憶測した(この事件については「対アメリカ戦でチョンス兄さん、ファン・ソンホンに殴られる?」の末尾部分を参照)のをチョンス兄さんが学習したんかなと思ったんやけど、理由はもっと単純やった。

<クッキーニュース2006年6月14日>より

「ワールドカップ初ゴール炸裂、イ・チョンス…“パク・チソンがヒディンクに抱きしめられるのが羨ましかった”」


イ・チョンスは、ゴールを入れた後、ディック・アドフォカート監督としっかりと抱き合ったことについて、「2002年にパク・チソンがポルトガル戦でゴールを入れたあと、フース・ヒディンク監督とぎゅっと抱き合っていたのを見て、ボクも絶対にやりたかった」「ゴールを入れることができたのは、ボクのコンディションが良く、監督がそれを認めて試合に送り出してくれたから」と語った。


チョンス兄さん、ヒディンク監督のこと大好きやったからねぇ。
 ◆参考ページ:「“ヒディンクに抱きしめられている”チョンス兄さん」
やっぱ、うらやましくてうらやましくてたまらなかったんやな。ちなみにくだんのポルトガル戦はパク・チソンがゴールを決めて全く面白くなかったので、例の暴露本にも一切の記述はありません。分かりやすすぎ、チョンス兄さん!


実際トーゴ戦で得点したのはチョンス兄さんとアンやけど、勝利への貢献という意味ではやはりパク・チソンの活躍を認めないわけにはいかない。
チョンス兄さんのフリーキックだって、もともとパク・チソンへのファウルから得たもの。チョンス兄さんの活躍を絶対に認めたくない一部の急進的な人たちは、チョンス兄さんのゴールもパク・チソンの功績だという。それは、フリーキックのきっかけをつくる反則を誘ったというレベルの話ではなく、
チョンス兄さんのフリーキックのとき、パク・チソンがトーゴのディフェンスを手で押さえつけていたが、その動きをみてトーゴのゴールキーパーが左側にボールが飛んでくると思い重心を左に寄せてしまったところ、結果的に反対方向に飛んできたボールを取ることができなかった(トッケビニュース2006年6月14日「イ・チョンス、ゴールは“パク・チソンのおかげ”」より要約)というもの。
う〜ん、悲しすぎるけど、百歩ゆずってパク・チソンは許す!けど……、

けど、アンには絶対にずぇ〜ったいに負けるわけにはいかへん!
2002年のワールドカップ以来、チョンス兄さんは、何がなんでもアンに勝つためにあらゆる分野で並々ならぬ努力をしてきた。勝負はスタジアムの外にもおよび、アンの奥さんがミス・コリア出身と聞けば、自分のカノジョも最低限ミス・コリア出身(それも「ミス・コリア真」)でなければならないと片っ端から元ミス・コリアの美女たちに声をかけては肩透かしをくらってきた。努力の末、やっと最近になって本気で相手にしてもらえるカノジョをゲットし結婚を約束した。
アンがテレビや雑誌でモデルをつとめたと聞けば、自分もテレビやミュージックビデオに出て(ミュージックビデオで美人歌手とキスした話はこちらをクリック )、芸能人と幅広く交際してみた。
アンドレ・キムの衣装も着てみた(かなりキショい)。
 ↓自信満々に「オレ、コイツらとは格が違うから」と一人左端で勘違いにキメてるチョンス兄さんはやはり偉大なり。


2005年Kリーグベストイレブン授賞式にて。
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=71166&servcode=600&sectcode=610
で、本業サッカーでは韓国人として初めてスペインへ進出し(それも1部リーグだぞ!)、ワールドカップでゴールも決めてみた(それもアンの目の前で痛快に)。アンの奥さんへの指輪セレモニーに対抗して、愛するカノジョへの「Y字」セレモニーもやってみた(「Y」はYouを意味してカノジョへの想いを表したものなのだそうだが、結果的には誰の目にもアンダーシャツの汗ジミにしか見えなかった)。
これで完全にアンを追い越したに違いないと確信していたところ、イ・ドングクの故障で流星のごとく現れた“スター”アン・ジョンファン。チョンス兄さんがこの4年間コツコツと積み上げてきた努力が、たったの20分で崩されてしまうことになる。

後半交替で入ってきたアンのほうも、チョンス兄さんを意識してか、あるいはそんなちっぽけなことではなく、このチャンスに何とかしがみついて自分の人生の活路を開こうとしてか、強引とも思えるくらい一直線にゴールをねらいにいってるように見えた。とにかく、「クソガキチョンスにスターの名は似合わない。いつだってオレ様がスターなのさ」と自分に言い聞かせてるようやった。チョンス兄さんなら往々にして空回りしてしまうそんな情熱も、確実にモノにしてしまうのは“大舞台体質”アンのなせるワザ。
チョンス兄さんのゴールから約20分後、アンの逆転ゴ〜〜〜〜〜ル!スタジアムは沸き返り、指輪キッスセレモニーして走り回るアンに歓喜のチームメイトが次々に襲いかかってアンを下敷きに人間タワーをつくって喜びを表現する。
チョンス兄さんが一番面白くないシーンである。ゴールの瞬間、誰よりもアンの近くにいたはずのチョンス兄さん、とりえあえず、ちんたらアンのところへ駆け寄りはしたが抱きつくのはヤダ(だって嬉しくないんだもん)。で、「アン一人をスターにさせておいてはいけない!」とばかりに、窒息死状態のアンを尻目に、何と「お上手!お上手!」というふうに手を叩きはじめたのだ。以下、証拠写真(Newsis 2006年6月14日「拍手するイ・チョンス」)


これは他人のゴールを自分のゴールかのように見せかけて自分が脚光を浴びようとするチョンス兄さんの本能的な必殺技である。
 ◆参考ページ:
「トルコ戦でイ・ウルヨンのゴールに喜ぶチョンス兄さん」
 「イ・チョンス、ゴールを入れていないのにセレモニー“ダメですか”」
 「祝☆チョンス兄さん、レアルソシエダ移籍スペシャル2 最初で最後(?)のゴールセレモニー」

チョンス兄さんのこのような行為は特にゴールを決めた選手に悪意があってやってるわけではないんやけど、アンに対してだけは露骨に対抗心剥き出しなのも確か。最も良い例が前回大会のアメリカ戦でアンがゴール決めたときのこと。ソルトレークオリンピックで韓国のキム・ドンソンがアメリカのオーノによって金メダルを“剥奪”されるという事件をネタに、アンがスケートセレモニー(いわゆるオーノセレモニー)をやってんけど、そのとき、チョンス兄さんはとっさにオーノの役をした。そのココロを暴露本では、

「『オーノセレモニーをするなら、ぎょっと驚いているオーノの役がいなければ、オーノがこの場面を見てもただあざ笑って終わりということになるんじゃないか』僕は素早くジョンファン兄貴のほうへ近寄って、ぎょっと驚いているオーノの役をした。」(「アメリカ戦“オーノセレモニー”の真相」
と告白しているが、その本心は、
「『オーノセレモニーをするなら、ぎょっと驚いているオーノの役を僕チョンスがしなければ、いつもオイシイとこどりのジョンファン兄貴だけが英雄になって終わりということになるんじゃないか』僕は素早くジョンファン兄貴のほうへ近寄って、ぎょっと驚いているオーノの役をした。」
というのが的を射ているのではと、おねぇは思っている。

結果的にアンのゴールが決勝ゴールとなり、韓国は貴重な初戦をモノにする。
今回もいつものごとくおいしいところをアンにもってかれてくやしくてたまらないチョンス兄さん、「でもボクもうオトナだから感情を表に出したりしなで、ジョンファン先輩にも紳士的な態度でねぎらうんだ」とばかりに、アンと固く握手を交わすが、やはり2人の間の距離は尋常でない(そしていつものごとくチョンス兄さんの腰がひけてる)。
以下、証拠写真(スポーツコリア 2006年6月14日「イ・チョンスとアン・ジョンファン、“オレたちがキメた”」)




韓国ではこの試合が地上波3局で放映され、合計視聴率は70%を超えた(終戦直後の紅白歌合戦か!)というが、そのうちMBCではチョンス兄さんの同点ゴールの瞬間が33.8%、アンの決勝ゴールの瞬間が35.5%を記録した。視聴率でもチョンス兄さんはアンに勝てへんということみたいや。


ちなみに、トーゴ戦終了直後にヤフー・コリアがはじめた「トーゴ戦勝利の主役は誰か?」という投票。17日現在で、
アン・ジョンファン 16%
イ・チョンス 8%
パク・チソン 72%
その他 2%
という結果。
チョンス兄さんへの評価が低くなってることは理解するが、この名前の並び順がおかしい。ゴールを決めた順なら、アンよりチョンス兄さんが上にきてしかるべきで、韓国式あいうえお順に並べたならパク・チソンが一番上にくる。ゴールを決めた選手の中であいうえお順(あるいは華のある順?)にわざわざ並べ替えるとは、チョンス兄さんを一番上にもってきたくない創作者の意図と見える。
24日まで投票続けてるみたいなんで、よければどうぞ。↓
http://kr.news.yahoo.com/service/news/shelllist.htm?stat=quiz&poll_id=15034&linkid=420

もし同点ゴールを入れたのがアンで、決勝ゴールを決めたのがチョンス兄さんやったらどうやったやろうと想像してみる。アンのおかげで同点においついたからこそ、チョンス兄さんの決勝弾にもなったと、いずれにせよアンがヒーローになったんやろな。やっぱ、容姿って大切。
チョンス兄さんはと言えば、最近ブラジルのサイトが行った“2006W杯ブサイク選手投票”で堂々の1位を獲得したくらいやからな。韓国からの組織票があったとは言うけど、サッカー選手としては世界的に無名に近いチョンス兄さんが、東アジアで唯一候補者にノミネートされてたということ自体がすごい。“ブ男”という点では地球の裏側ブラジルにまでその名を轟かせてたってことやからな。

でも、チョンス兄さん。捨てる神あれば拾う神あり。世界は広い。アンよりチョンス兄さんのほうが知名度が高い国だってあるんやで。そうスペイン!さっそくTocciからスペインのレポートが届いたんで紹介しとこう。

さて、ようやくチョンス兄さんのゴールシーンを見ることができました。もう少しコメントとか聞けると思っていたのに、こちらのテレビのニュースのトピックは、アン・ジョンファンどころか、フランスがスイスに引き分けたこと一色。その後ブラジルがクロアチアと戦っちゃったりしたものだから、韓国とトーゴの試合なんか完全に忘れ去られている。だから、ブラジル戦が終了して11時からずっとテレビに張り付いていたのに、韓国とトーゴの試合は、30秒間のダイジェストのみ。チョンス兄さんのゴールも、ほんの一瞬だった。地面にうずくまるシーンと、フリーキックを決めるシーンと、そのあとブチュブチュところかまわず投げキッスするシーン。そして、アンのゴールが一瞬うつって、試合終了の画面はチョンス兄さんの満面の笑みで締めくくられていたのでした。さすがのアンでもスペインでは無名の存在となってしまう。ナレーションでも、元レアル・ソシエダのリー・チュン・スーと一応言われていたし、こちらではアンよりも知名度は高いので、最後の画面ではたとえ3秒でもチョンス兄さんの微笑みが使われたようです。

う、う、うっ、、、(涙)チョンス兄さんに教えてあげたくなるような事実ではないか。
スペインの人たちにとってはアジアの片隅の韓国なんて存在感無しなのかと思いきや、案外今回のワールドカップで韓国の決勝リーグ進出を誰よりも望んでるのがスペインかもしれへん。Tocciのレポートを続けよう。

スペインと韓国、ユーラシア大陸の西の端イベリア半島の小国と、東の端朝鮮半島の小国である二つの国がぶつかることになるかもしれない。
2006年ドイツワールドカップ、グループリーグをスペインが1位、韓国が2位(あるいはその逆)で勝ち抜けることができれば、次のベスト16戦で両者がぶつかることになるのであります。そして、これをやりたくて仕方がないのがスペイン人。今季のワールドカップ、好調な滑り出しを見せたスペインは早い段階で韓国と対戦したくて仕方がないよう。別に韓国が好きだからでないのは明らか。そうです。2002年の準々決勝の恨みを果たしたくって仕方がないのです。今回のスペインなら楽々できる、かはもう少し様子を見ないといけないけれど……。

いくら2002年のワールドカップで韓国相手に敗れたとはいえ、スペインの人も結構さっぱりしているから、もう忘れちゃっているんじゃない、と彼らを軽く見くびっていた筆者でしたが、実際はもっとネチネチしていました。その兆候をいうなら、2006年ドイツワールドカップの始まる数日前、テレビでは例の韓国対スペインの試合を改めて放送していました。これ見よがし!という感じで、殺気を高めるのが目的かと思ったくらい。
で、例の疑惑のシーンとかをスローにして、やっぱここはオフサイドじゃないですよねー、とか、やっぱりここはボール出てないですよねー、とかのコメントをネチネチやっていました。
うほ、執念深いねぇと思っていた矢先、すごいCMさえ見かけました。映像をお届けできないのが残念ですが、こんな感じ。

1.アン・ジョンファンがイタリア代表との試合でPKを外したシーンが現れる。
これは、もちろん先のワールドカップでの試合の映像だけど、このCM中では、あたかも今回のワールドカップで韓国がアンのPK外しで試合に敗れたかのようなシーンにしている。
2.その後、現れる韓国側のベンチ。肩を落とす選手たちと思しき東洋人は皆、冴えない灰色のジャージを着ている。
3.そこで怒りを露にする監督。「出て行け!」という内容を怒鳴るんだけど、よく聞くと、え?中国語じゃん。監督が中国語をしゃべっている。きっと韓国人のエキストラが集まらなかったんだろうなぁと思いつつ。

まぁ、スペインの映像で、東洋人が何の言語しゃべっても分かりゃしないだろうという安易な作りのCMではありましたが、なぜこんなシーンが宣伝の一部になんねん?と。ちなみにこのCMは、「ワールドカップを楽しもう」というコンセプトのもとに作られたものであります。韓国の敗北こそ、ワールドカップが楽しめる一つの要素というわけかしら。ちなみに「PKで負ける」という試合はスペインにとって忘れ難いシーン。それもそのはず、前回の韓国対スペインの試合では延長戦の挙句に、PK戦となり、最後ホアキンが外してスペインの敗北が決まったからです(この記事についてはこちらを参照)。そんな裏的要素まで含んだこのCM、かなり怨念がこもっている?(笑)


とはいえ、歴史的・伝統的には殆んど何の関係もないスペインと韓国ですから、日本と韓国の間に存在するバチバチした火花は存在しません。何ていうのかしら、変な敵に不意打ちをくらったものだから、よぉーし、今度は仕返しするぞ!と息巻いているような感じ。
というわけで、韓国に対するリスペクトはもちろん存在するわけで、先日は韓国人ファンを取材した番組も見かけました。これも映像をお届けできないのが残念ですが、こんな感じ。

1.「韓国ファンは伝統を重んじる人たちです」とかいうナレーションをバックに、民族衣装を着たファンや、真っ赤な韓国色を身に付けた熱狂的なファンたちが映し出される。
2.さらに、「韓国ファンは皆とても熱狂的です」というナレーションの後、「このご家族は、10時間かけてソウルからはるばるドイツにやってきました。夫妻が抱きかかえる子供はまだ生後10ヶ月 。この子の名前は大好きなサッカー選手のものなのです。その名も、『アン・ジョン・ジャン』……(画面切り替わる)……」
日本とか韓国の名前はスペイン人にはすごく発音しにくいみたいだ。韓国の試合中も、実況でのチョンス兄さんの名前は、チュン・ソーになったりチュン・ソンになったりしていた。

私たちにとってチョンス兄さんのワールドカップ初ゴールはすごく大きな事件だったけれど、こちらスペインでは一向に放映されない。しかし、0時40分に韓国対トーゴが放映されたのにはびっくりしました。午後3時に生放送していた試合なのに。ラッキーと思い、試合を見ていると予想以上のスピード、日本戦をみていた時に比べるとあっという間に時間が過ぎていく。うわ、スピーディな試合をやったんだなぁと感心していると、何のことはない45分間に短縮されたダイジェスト版を見ていただけだったのでした。

あっ、単にPK戦の恨みを晴らしたいわけね(笑)。
でも、私も韓国とスペインのPK戦見てみたいな〜。PKとかFKには自信あるチョンス兄さん。前回のワールドカップでPKをはずしたアン(PK戦のPKではないが)のことを、暴露本やその他のところで、しつこく回想して人々の記憶に蘇らせようとしていた(「チョンス兄さん、トッティとビエリは恐かったと激白」 「イ・チョンス選手が伝えるワールドカップチーム裏話 インタビュー編」 など)。是非とも今度の大会のPK戦でアンとのPK対決をしてもらいたいものだ(この時点で韓国とスペインの戦いではなく、チョンス兄さんとアンの戦いになってるけど)。


ちなみに両者の最終目標は偶然にも一致してプレミアリーグ進出。つまりチョンス兄さんとアンの確執の勝敗は、どちらが先にプレミアリーグに進出できるかということで決着がつきそうや。そのためにワールドカップはアピールには最高の場であり、相手よりアタマ一つ抜きん出たい両者は互いに「オレがオレが」と言って譲らず、チャンスで協力してプレイしたりしない。そういう視点から韓国戦を観戦するのもまたオモシロく、韓国戦が続く限り、チョンス兄さんとアンの確執もまだまだ続くのであります……。

次のフランス戦はチョンス兄さんのカノジョが直接ドイツのスタジアムに応援に来る。スイスよりフランスのほうが穴があってちょろそうと感じてるチョンス兄さんは、次のフランス戦で、韓国が勝って2試合目にして16強進出を決めるとともに、自身もゴールを決めて、“アジア選手初のワールドカップ2試合連続ゴールを記録した選手”となりたいそう。ただ“2試合連続……”の資格はトーゴ戦でゴールを決めた宿敵アン・ジョンファンにも当然あるわけで、くれぐれもその栄誉をアンにもって行かれへんようにな、チョンス兄さん!
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